やはた幼稚園 園舎増設工事
東京都中野区
東京の街中で木の園舎をつくる
加子母(かしも)地域はじめ岐阜県産の東濃ひのき・長良杉材をふんだんに使い、東京の住宅街で木の園舎を施工しました。
【設計コンセプト】
木造の在来工法に「RC櫛形耐震壁」を組み合わせた構造により強い耐震壁を用いることで、広い空間を出来るだけフレキシブルに設えて外周部の開口を十分に確保。併せて、LVL被覆1時間耐火構造柱を初めて採用し、都市に建てる「地産都消」の木造建築として新たな試みに取り組んでいます。

【子供たちと林産地を巡る】
「新しい木の園舎が出来ていく過程を、子供たちも一緒に体感できませんか?」という園長先生と設計事務所さんの意向を受け、工事がはじまった夏休みには、園舎の故郷にあたる林産地を廻る加子母ツアーへ。
2日間を通して山に入り、加工場や山村文化の残る建築を巡り「観て・聞いて・触れる」という体験を通して「山の木が伐り出され、木材市場を経て製材・加工され柱・梁などの建築用材になる」までを見学しました。
岐阜での加工を終えた柱・梁などの構造材が東京に運ばれ、現場での建て方が終わった後にも、園児全員が参加した施工中の現場の小旅行はじめ、地域の方々にも参加頂き構造見学会や、沢山の方々に参加頂いてお餅まきも開催し、これらを通して園児の皆さんはじめ、地域の方々とも木の園舎をつくる過程を楽しむことが出来ました。
古くから地域に愛され・大切にされてきたやはた幼稚園さんで、私共の故郷:岐阜の山で大切に育てられた木を使い、東京で木の園舎を建築させて頂きました。
【Exterior】









【Interior】
<First floor>










<Second floor>





建物概要
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建築設計 :ビルディングランドスケープ
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構造設計 :木下洋介構造計画
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防耐火設計:桜設計集団
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施 工 :中島工務店 東京支店
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主要用途:保育所(企業主導型保育園)
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所在地 : 東京都中野区
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延床面積 : 426.32㎡(128.96坪)
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構造 : 木造(耐火構造)
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階数 : 地上2階建て
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竣工:2020年3月30日

やはた幼稚園HP https://yahatayouchien.com/
【木の園舎ができるまで:子供たちと学ぶ木育】
林産地を巡る加子母(かしも)ツアー1 https://sozo3131.exblog.jp/30898772/
林産地を巡る加子母(かしも)ツアー2 https://sozo3131.exblog.jp/30898772/
子供たちの現場小旅行 https://sozo3131.exblog.jp/30987485/
上棟式・お餅まき・構造見学会 https://sozo3131.exblog.jp/30989253/
昨年開園70周年を迎えた「やはた幼稚園」 は、創造的で意欲的な幼児教育に取り組む、地域で人気の幼稚園である。RC耐火建築2階建ての既存幼稚園園舎に幼稚園の教職員や地域の方々の子供たちを預かる企業主導型保育施設を併設するため、保育室と、プロジェクト教育や子育て相談など多目的に使用できる遊戯室兼子育て支援室を備えた耐火木造2階建の園舎を、一体として増築した。
広い空間を出来るだけフレキシブルに設えるために耐震要素をできるだけ建物外周にまとめ、木造の在来工法に「RC櫛形耐震壁」を組み合わせることで、外周部の開口を十分に確保した。多目的室内に自立してくる1時間耐火柱は、160mm角の木造の柱を準不燃処理した70mm厚のLVL材で包むことで1時間耐火柱とする「LVL被覆1時間耐火構造柱」(製造:株式会社キーテック)である。全国LVL協会の開発に私たちも参加していたもので、本プロジェクトが日本で初めての採用事例となる。
この建築は通常であれば準耐火構造で良い規模だが、敷地が東京都中野区の木密地域の「新防火区域」内であるために耐火建築とすることが求められた。そのような条件の中で、JAS材と併用してぎふ性能認証材を適材適所にて使用し、施工を岐阜県加子母の中島工務店が手がけることで、岐阜県東濃地域の木材と職人技による「地産都消」の建築を実現した。